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2020年5月22日(金)
新型コロナウイルス対策で緊急事態宣言が出され、3密の場における感染の危険を避けるため、外出自粛、休業要請、そしてイベントの開催自粛も求められ、スポーツ界でもプロ野球、高校野球、サッカー、ラグビーなど多くのスポーツ種目が中止・延期の対応を迫られています。そうした中、無観客でかろうじて春場所を行った大相撲は、5月場所は中止、7月の名古屋場所は東京両国国技館において無観客試合の予定となりました。そんな不確定要素の多い現況ですが、たとえ夏場所開催が実施されなくても、せめて相撲に関する楽しい話題で寂しさを癒す糧としたいと思います。
「一日に千両の落ち所」といわれまして、江戸には一日千両ものお金が動く場所が三ヶ所ありました。「日に千両、鼻の上下にヘソの下」ともいわれました。なぞかけのような表現ですが、それは目・口・股で、歌舞伎の芝居町、日本橋の魚河岸そして歓楽街の吉原を表していました。江戸の三大娯楽というとこの3つが挙げられましたが、相撲もまた江戸時代の娯楽の華でした。相撲は神話の時代に始まり古来神事や祭りであり、また武芸・武道でもありました。江戸時代には庶民の娯楽として隆盛を極め、現代では日本相撲協会が主催するスポーツの興行として発展しています。相撲は江戸時代に興行化されましたが、年2場所、晴天8日間で、安永年間(1772〜80)からは年2場所(3月・10月)、雨が降れば順延、晴天10日間となりました。そこで、相撲の力士は「一年を二十日で暮らすよい男」などと歌舞伎役者と並び称されるほどの花形職業となりました。当時の江戸川柳には、そんな人気の力士を詠んだ句がいくつかあります。「土俵入りまけるけしきが見えぬなり」土俵入りには、横綱の土俵入りのほか、大関以下幕内力士が東西に分かれて土俵周辺を巡る土俵入りがあります。この句はその土俵入りのことで、幕内土俵入りの力士を見ると、みんな強そうで負ける気色が見えない、というのです。「関取の乳のあたりに人だかり」江戸時代の日本人は現在の日本人より小柄だったといわれますが、相撲取りは大きく感じたことでしょう。背の高さをそんなふうに言い表しています。巨漢力士といえば、寛政時代(18世紀末)にいた釈迦ヶ岳という力士は身長2メートルだったそうです。体格のいい力士を面白く表した川柳はいろいろあります。
「関取に赤子を抱かせ大笑い」「子を抱いて惣身のすくむ角力とり」「関取のこわごわかける涼み台」「風上に座り関取叱られる」「関取も蚤には負けて夜を明かし」最後の句は極大と極小の対比を表しています。ただ、次の句は少々難解です。「角力好き女房に羽織ことわられ」今でも思いがけなく金星をあげた勝負に座布団が飛び交いますが、江戸時代は贔屓の力士が勝つと羽織を脱いで投げたそうです。その羽織は呼び出しが持って礼に来るので、その時祝儀を渡して羽織を引き取るのが決まり事であったといいます。ですから、この句は相撲見物に行く亭主が羽織を着て行くなと女房に渋い顔をされた情景で「相撲取りに祝いを弾むぐらいなら、私に着物の一枚でも買っておくれ」という女房の思いが潜んでいそうです。
普段、私たちが使っている言語の中には仏教語に由来する言葉が結構多くありますが、相撲から派生した言葉もいくつかあります。「人の褌で相撲取る」「揚げ足を取る」「胸を借りる」「仕切り直す」「肩透かしをくう」「水が入る」「勇み足」などなど。また相撲に関連した言葉に「八百長」「土左衛門」などがあります。「八百長」は馴れ合いの勝負のことをいいますが、その由来は明治の初めに(今の協会にあたる)相撲会所に出入りしていた長造という八百屋の名からきています。当時、会所筆頭(今の理事長)の伊勢の海親方は囲碁好きの権力者でした。そこで、長造さんは親方に取り入るために親方と碁を打つ時は負けてばかり。そのおかげで、八百屋の傍ら、桟敷屋(今の相撲茶屋)の権利を手に入れることができました。ところが、ある時、両国の碁会所開きがあり、その際来賓の本因坊何某に長造が挑戦し互角の熱戦をしたことから、それまで親方との勝負には故意に負けていたということがばれてしまいました。このことから、馴れ合いの勝負を「八百長」というようになったということです。また、享保年間に関脇まで努めた鳴瀬川土左衛門という力士がいました。色白で肥満体でしたが、その姿が水死人に似ているというので、彼にとっては迷惑な限りな話でしょうが「土左衛門」は溺死体の代名詞になってしまいました。江戸川柳に「舟遊山土左衛門が来てしんとする」という句があります。飲めや唄えやの賑やかな舟遊びをしているところへ溺死体が流れてきて、気分が萎え急に静かになってしまったという情景です。大相撲の中止が取り沙汰されるこの際せめての憩いとし、あえて相撲に関する話題を取り上げご紹介しました。
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